1ヶ月後、真侑は営業後に直接愛那の病院に行くつもりだった。
手術のためにもう入院を済ませているのだった。
店の従業員、玲実達から祝ってもらい裏口から皆に見送られて出る。
そこには晶生がいた。
真侑は自分の目を疑った。晶生を目の前にして、一歩も動けない。
「あ、晶生…?」
仕事で汚れた作業着。ホストだった面影はもう感じられないほど。
それでも、花束を持って真侑を迎える。

晶生は住み込みのトラック運転手見習いの仕事を見つけた。
トラックを買う夢もまた持てるようになった。
「真侑。お疲れ。よく頑張ったよな。」
真侑の目の前に花束を差し出す。真侑の手が晶生の頬に触れる。
「本当に晶生?本物?…夢じゃないよね?」
頬に触れている手に晶生は自分の手を重ねて言う。
目には涙が浮かんでいた。
「やっとお前に返って来れた。真侑、愛してる。」
真侑の瞳からも大粒の何だがこぼれる。
店長の手が真侑の背中を押した。
晶生の胸に倒れる真侑。
「晶生っ!」
抱きしめる晶生。
真侑も力いっぱい返す。
「これからずっと側にいてもいい?オレでいい?」
晶生のその言葉に、真侑は答える。
「晶生がいい。愛してる。あなたしか いらない」
真侑の耳にはハートのピアスが揺れて光っていた。