優しくされ、頼りにもなる店長に私は少しづつ打ち解けていた。
でも、躁鬱があまり良くならない私に店長が提案する。
「真侑さん、心理学か何かの本で読んだんだけど、『書く』ってことが心の整理や精神を落ち着かせるのに効果があるんだって」
「書く?何を書くの?」
「どんなことでも良いらしいよ。そうだ!日記でも書いてみたら?」

私の日記は、天気から始まった。
初日は1行しかなかった日記。
だんだんと、長くなっていった。
その日食べたもの。愛那のこと。お店でのこと。お客さんのこと。そして、晶生のこと。
書けば書くほど、晶生への想いの深さを知らされる。

店長といて癒されても、玲実と店で笑ってても、思ってしまう。
そして分かったこと。
悲しさも、寂しさも 他の人で埋めることなんてできない。
晶生が隣にいないこと。もう戻れないこと。
そんな、どうしようもないことに、私は涙をこぼした。

愛があれば何とかなるって理想か、幻。
なんとかなるほど甘くない。
なんともならなくて、当たり前なんだ。
過ちも、許されない嘘さえも、時は消してくれるだろう。

そう思えるようになって、私は少しづつ元気を取り戻してきた。