恋色和音




「......木島にとっての榊は、大切でかけがえのない存在だったんだろうね」


先生はぽつりとそう呟いた。


「―――え?」


ある言葉を聞いて、思わず、顔を上げた。


榊。

榊は、麗奈の名字。



「......どうして?」


どうして、名前を出していないのに、知っているの?


“その子”が、麗奈だということを。