恋色和音




――...嘘。


さっきの切なそうな表情だって、一瞬だけ見せた曇った表情だって。


私は、見逃してはいなかったんだから。


「じゃあ、先生は夕日を見ながら何を思っていたんですか?」


私がそう言うと、先生は少し驚いたような表情を見せた。


ねえ、先生。
――...先生には、なにかあるような気がしてならなかったんです。