途端に暗転する周囲の景色。

夕暮れだった筈の空は動脈から迸り出たどす黒い血の色に染まり、地面は内出血の如き不気味な紫に変わる。

そんな中を。

「ひっ!」

黒一色の瞳のアモルが歩み寄ってくる。

「くっ、来るなっ!化け物!」

それは得体の知れぬものに対する未知への恐怖からか。

男子生徒の一人が咄嗟にナイフを懐から出し、投げつける!

投擲されたナイフは、アモルの抱くエリザベスの胴体に。

「おいおい、痛ぇじゃねぇか…」

ケケケケ、と笑うエリザベス。

綿しか詰まっていない、そのぬいぐるみの傷口から。

「!!!!!!」

這い出てくる。

蟲が。

嫌悪感を否応なしに煽り立てる、おぞましくも汚らわしい毒蟲が。

無数に、夥しく。

どうやってこのような数を、その愛らしい内腑に収めていたのかと思うほどの数。

それらはエリザベスの腹の中から湧き出し、地面を這いずり、男子生徒達の足元から這い登ってくる。

服の中に、顔に、口の中に、耳の穴に、鼻の穴に。

鼓膜近くまで侵入され、ウゾウゾと蠢く音が大音量で男子生徒達を苛む。

「いぎっ、ぎゃっ、ぎゃあぁぁアァァアァァァあああああぁぁあぁァぁアア!」