「お前も事件の話くらいは聞いていよう」

龍娘はチャイナドレスのスリットから覗く美脚を組む。

「『美少女二十選』以降に起こる女子生徒達の被害…どう考える?」

「……」

黙したまま、宙の何もない一点を見据える渉。

掴み所のない雰囲気を身に纏った男だ。

こうしていると、何か常人には見えないものが見えているのではないかという気さえしてくる。

ややあって。

「『先々代の天神学園学園長というのが非常に気性の荒い人で、その学園長の怒りを鎮める為の生贄として美少女生徒二十人を捧げたというのがその始まり』…」

渉は懐から手帳を取り出し、そんな文章を読み上げる。

先日の『美少女二十選』で選考委員長が言っていた、イベントの成り立ちだ。