「えっ・・・」
 今度は、菜穂が浮く。
「ちょっと待ってよ!!何する気?」
『私ね・・・成仏する為には、やらなきゃいけないことがあるの』
「何!?」
『協力してくれるわよね?』
「はいはいっ、協力するっ!!」
『素直でよろしい』
 菜穂は、地上に降りる。
「で、何?」
『・・・説明するわ、来て』
 ―――音楽室を出て、向かったのは・・・
「保健室?」
『そう。山笠・・・智樹、いるでしょう?』
「山笠先生?」
 山笠先生は、まだ20代の、若い先生だ。
 去年大学を出たばかりらしい。
 顔がとてもカッコイイので、女子生徒からの人気が高い。
 学園のアイドルと呼ばれるほど。
『あれ、私の彼氏』
「えぇっ!?」
 思わず、叫んでしまう。
『っていうか、元彼?・・・なんでもいいや』
「嘘ぉ・・・」
『嘘ついてどうすんの』
「でも、えっ?」
『私は、生きてたらもう、あんたより年上』
 そうなるか。
 しかし、美男美女のカップルだ。
『中学の時に付き合ってたんだけどね。私が死んじゃって』
「へぇ・・・」
『智樹、自分のせいだと思っているの。私、ずっと見守ってきた』
「だから、この学校に?」
『そう。んで、ずっと彼女作らないのよ』
 何が言いたいのだろうか。
『智樹と・・・恋してあげて』
「えっ!?」
『私、悔しいけど、このままじゃ嫌なの』
「でも・・・」
『嫌?』