「逃げんなよ……」


少し寂しそうな低い声が聞こえてきた。


……こんなんされたら逃げれないし。


「ったく……何でオレの気持ちはムシなわけ? 自分がよけりゃーそれでいいのかよ」


「そ、そーゆーわけじゃ……」


何か、わたし、怒られてる?


てか、わたしはここから離してもらえないの?


この期に及んでもまだ、そんなことが頭に浮かぶ。