「若葉、行くよ!」 陽斗に先を促される。 これは昔からのこと。 手に吸盤がついたかのように水槽にくっついて、イルカを見つめる。 何時間見ていても飽きないから、誰かに声をかけてもらわなきゃ、次に進めない。 というか……わたしはイルカを見てるだけで十分なんだけどね。 「本当、昔から進歩しねーな」 陽斗が笑う。