陽炎学園異文録

割り当てられた部屋は、昔使っていた十二畳ほどの和室。
ベッドや机などはまだ新品で、家具も埃ひとつ被っていない。
けれども何故か、昔使っていた玩具などが隅の方に箱に入れて存在していた。

「佳乃…か?」

昔よく一緒に遊んでいて、それの思い出に取っておいたのだろうと明人は考える。
持ってきた物は全て部屋の奥へと積み重ねて置いた。
春休み中に整理をしようと考えながら、明人はベッドに突っ伏す。
精神的に疲れたせいか、身体が睡眠を求めているらしいと考えながら、明人は眠気に引きずり込まれるようにして眠りについた。