【短】涙弱男

もう怒りの感情は消え去った。


何だろう、この無力感。


ははは…。


「ごべんね…ヒック…あたし…ヒック…やるって言ったのに」


できねぇなら、最初からそう言えよ。

これはまじで想像以上。


「とりあえず里沙、顔洗ってこい」


「で、でも…!ヒック」


あぁ嫌だ。

めんどくせーな。


「俺は泣く女は大嫌いなんだよ!汚い顔を洗ってこいっ」


「うっ…うっ…」


教室の外に出たのを確認して、俺は携帯を取り出す。


「もしもし、浪川っすけど。すみません、今日腹が痛くて盲腸な気がするんで休みます。あ、親不知も痛いんで。じゃ」


電話の向こうで店長がキャンキャン吠えてたけど、静かに通話を終了させた。