【短】涙弱男

「…………」


カー…カー…


それから更に一時間ぐらい経ち、ついにカラスまで鳴きはじめた。


空が赤い。

でもまだ里沙は出てこない。


あの里沙に限って、投げ出して寝てるってことはないはず。

責任感強そうだし、たぶんがんばってんだろう。


「…………」


……しゃーねーか。


ピッ


ガコンッ


全てを許すことはできないけど、その努力だけは認めてやるよ。


何となくだけど、里沙の好きそうな甘ったるいカフェオレを持って教室へ向かう。


「里沙ーっ」