何なんだろう、
この愛おしさは…。
この恋しさは…。
…君と一生このままでいたいとさえ、思う…。
私、おかしいのかな。
一度彼女がいるからとフられた相手に、しばらくの間避けられて、それでも好きで、どうしようもなくて…
“…俺、彼女と別れたんだよ…”
君は間違えなくそう言った。
君の口から、ちゃんと話してくれた…。
すごく、すごくホッとして、泣きたいくらいに君が愛おしくなった。
一滴の涙の理由は、きっと、君から“別れた”という言葉が聞けたからだ…。
別れたことよりも、君が教えてくれたことの方が嬉しい気がした。
そしてまた、沈黙。
図書室には、だんだんとオレンジ色の光が差し込んできた。
気まずい雰囲気になったから、私は再び作文を書き始める。
文章が、浮かんでこない。
さっきの事が、頭に焼き付いていて…。
そして、この沈黙を破ったのは藤田だった。
「山城…」
切ないようで、しっかりとした声が私を呼んだ。
同時に、熱くなっていく私の頬。
「…何?」
藤田はそのまま俯いて、そしてまた私に顔を向けた。
あう、瞳。
お互いの、心の中。
真剣な顔をする藤田に、目をあわせなきゃいけないような気がした。