「…俺、彼女と別れたんだよ…」
シーンとする図書室の中で、二人だけの空間。
大好きな優しい声で君はそう言った。
……
………
…………
……なぜ…?
聞いた瞬間に、涙が一滴、頬を伝う。
もう、自分が…分からない。
私はなんで泣いてるの…?
何が悲しいの…?
何が悔しくて、どう辛いの…?
そんな自分の問いかけにすら、私は答えられない。
ただ、君を見るといつもと違う真剣な表情をしていて。
それが余計に胸を締め付けた。
泣くのを必死でこらえて、喉がつまるのを感じながら私は藤田に答えた。
「…うん。知ってる…。前野から聞いたよ…」
「そっか。アイツ、喋ったのか…」
こう言った藤田は、なぜか棒読みだった。微妙に声が振動していたことには、あえて触れないでおく。
「うん…。旅行の日の夜…聞いたの…」
「ふーん…。なるほど…」
冷静だけど、どこか緊張して答える藤田。