「もしもし?



嬉梨???」




『もしもし……?』




嬉梨の声が悲しそうに聞こえるのは




私だけ?





ううん。




もしかしたら……っ!!





「もしかして……嬉梨。



まさかっ!!」





『……アレ? 気づいちゃった?




ハハハ! せっかく暗い雰囲気で






ふられちゃったと



思わせようと思ってたのに!!』







何だ。



でも一件落着。





よかったね。








『ねぇ、澪梨?』



「うん?」





『恋人っていいね♪』






「うん」





なぜかしゅんとしてしまう。




嬉梨のこと




喜ばなきゃいけないのに








喜べないよ。




きっと……







那珂のせいだよ。





『あのさ、澪梨の彼氏って名前なんだっけ?』




「あぁ……。那珂だよ。



な・か!」





『変わった名前だよね。




見てみたいなぁ。



あっ! ちなみに私の彼氏の名前はぁ~』






上機嫌な嬉梨がすこし



イラッときて





「知ってる!!



燐君でしょ!




じゃあね。明日早いからもう寝る!!」





なんて言って



電話を切ってしまった。