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「はぁ、はぁ…、あれ…?」
体育館シューズに履き替えて体育館に入り、怒られる用意をしていたけれど、そこにいたのは生徒だけだった
「あ、琳!遅かったね、」
「あー、うん。途中で体育館シューズ忘れてるのに気付いてさ」
「もー、本当に馬鹿なんだから」
そう悪態を吐いたのは、いつも一緒にいる谷村 弥生
弥生はお姉ちゃんみたいな存在で、勉強も運動神経も私より遥かに上で、高校生の彼氏がいる
私は頭は悪く、けれど運動神経は人並みにあり、遅刻魔でめんどくさがりなフリーな普通…ではない生徒だ
「お、長谷見!」
「うわ、庵じゃん…」
「え、なにその嫌そうな感じの顔」
「だって庵のテンションについていけないし」
「黙れよヲタクが」
「いや、庵もヲタクでしょ」
謎な行動が多いこの生徒は、田中 庵
成績良し、運動神経抜群、顔も良し、なのに性格がアウト
その原因は、『ヲタク』だからだ
私も一応ヲタクらしい
アニメ見たりネットを放浪しているだけなのに、庵からは「ヲタク!」と呼ばれている
「ていうか先生は?」
「わかんない、まだ来てないよ」
体育館の入り口を見ながら弥生は言った
「長谷見、ブーン!」
「ぶ、ブーン…」
両手を大きく広げて走り回る庵
それを遠慮がちに真似する私
でも最近は慣れてきた
それから10分は経っただろうか、やっと先生がきた
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