紫陽花のキミに。







「………。」






ボーッとする頭を持ち上げて
台所を見ると、エプロンを巻いた結衣の姿。





今、何時?







ちらっと時計を盗み見ると
18:30過ぎだった。





もうこんな時間?






てか、俺寝てた?







布団かけてあるし


寝てたのか





つか、布団…



もしや、結衣がかけてくれたとか?





ぎゅっと布団をつかんで結衣の背中に視線を送った。






晩飯の用意でもしてくれてんのかな






そうだとしたら結構いいとこあんじゃん






そう俺が感心していた時だった








皿がパリーンと音をたてて床に叩きつけられた







「ぎゃっ!」





奇声をあげる結衣に
眉間に皺を寄せる俺







何やってんの、この人







「あうー…やっぱ割っちゃった…」





渋い顔をしてしゃがむ結衣




やっぱって何だよ




予測済みってか?







「いっ!」






見ていると
また奇声をあげる





指切った?







「バカ…あとは俺がするから」





気付けばそんなことを言っていた。