紫陽花のキミに。







なんなんだ、あいつ…







俺は結衣の背中を目で追って
ため息を漏らした。








それにしても、
同居か…








俺にその気がないことだけが
唯一の救いってとこだな







そう思いながら
俺は小さく笑った。








「そういえば、カテキョって何教えてくれんの?勉強?」







結衣の背中に言葉を掛けた。








すると、ぱっと振り返った結衣。






視線が絡まり
俺は返事を待つ。







だんだん、結衣の視線が傾き、
ついには首を傾げた。








え?




なんで、首傾げんの?









俺は眉間に皺を寄せて
同じように首を傾げた。








「結衣…?」







俺が名前を呼ぶと
結衣は俺から視線を外した。








「勉強なんか…勉強なんか糞くらえ」







は?







ぼそぼそと喋る結衣。







今、なんて?







「だーもう!勉強なんかできないの!毎回赤点補習まみれ!」







眉間に皺を寄せたままの俺に
そう言い放った。