「親御さんに迷惑かけたくないから一人暮らしの女の子たちに聞いたら、みんな無理だし…だから、長沢に男でもいいから誰かいないか聞いたら、あんたの名前が出てきたの。」
「なんで俺?」
根拠なし?
しかも、一人暮らしの男って
無防備にも程があるだろ…
「だって、あんた、好きな子いるでしょ?」
「は?」
なんで知って…?
「それに、あんた引っ込み思案だし…スポーツばっかだから、女には手出さなさそうだし、元々そんな知識なさそうだし、安全圏だったわけ!」
半ば叫んでる。
そんなことより
物凄くバカにされてないすか?
元々そんな知識なさそう?
スポーツばっか?
挙げ句に俺は安全圏?
なんだよそれ…。
「あのさぁ、全部ハズレなんだけど?」
俺はいつもより低い声で言った。
「はひ?」
結衣は目を真ん丸くして
俺を見上げた。
ゆっくり結衣に近き
俺は結衣の前髪を左に流した。

