学園で絶世の美女と評判なだけあってわたしのことを知らないはずはないのだが、

実は久保寺海士と話したことは一度もない。


だからとりあえずコンタクトをとっておくことにした。





わたしは廊下の向かう側から歩いてきた久保寺を見て たくさんの教科書と書類を持って歩き、自然にぶつかる。





「きゃっ!!」



床に散らばる本や紙の数々。




「あっわるい、大丈夫?」




散乱する本を拾いながらわたしに差し出してくれた。






恐らく前を向いていなかったのであろう
それにわたしの低身長もあって、自分がぶつかったのだと思っているようだ。










「あ、いえ大丈夫です。どうも」



素っ気なく言うのが鉄則。

上目遣いも忘れずに。







「あ、うん」




そう言うと久保寺はスタスタと行ってしまった。