会社の前といってもこの車は高級車だし、それにまだ社長でもない俺が会社の玄関の前で降りたら変に思われるからちょっと手前だが。 「あ、あぁ。ありがとな。じゃ、行ってくる。」 俺は会社に入るまで唖然としながら口を開けっぱなしにしていた。 俺の机に座ると魁斗がやってきた。 「よッ。朝から寝ぼけた顔してんじゃねぇよ。」 「…………。」 何も言わない俺を不審に思った魁斗は俺の顔の前で手をブンブン振った。