新芽の息吹きや桜の花びら、柔らかな風にどこか冬の名残を忍ばせる春。
まるで山車や鉾にその重たさを断ち切って欲しいかの如く、蒸せかえる夏の祇園。
紅葉や銀杏の鮮やかさに、何やら人恋しい秋。白川に流れるその一片は、永劫の儚さを孕んでいるように思えてならない。
さて、気障な台詞を並べてみたが、これからの季節に是非とも寄って頂きたい店がもう一軒目である。
花見小路四条の南側の歩道をアーケード沿いに歩き、暫くした雑居ビルにその店はある。
東京は赤坂の伝統ある店からのれん分けを許されたビーフシチューの名店、『銀○塔』である。
少し入り辛い雑居ビルにあって、何ゆえにこれほど旨いのか、今以て私にはわからない。
