少し、昔の話をしようか。

私は孤児だった。


私の暮らしていた孤児院では、みんながとても仲良く暮らしていた。

しかし、そんな幸せも長くは続かなかった。

























その日は運命の日だった。

私はその日に、この世で学ぶべきことの半分以上を知ってしまった気がする。









煌々ときらめくランプのような心温まる光ではない光。

既に私の頬を少しだけ焦がした体感温度のとても高い熱。

逃げ惑ういつも明るかったみんな。

私はその光景に呆然としていた。

優しかった孤児院のスタッフさん。

その人たちがみんな、赤く、赤く、紅く。

紅の臭いと、優しかった匂いが混ざり合って咽返った。

吐きそうになった。









そのうちの一人が、かすかに息を残していた。

しかし、発した言葉は切羽詰った「逃げて」。

私は後ろを見た。

私よりほんの少しだけ背の高い化け物がいた。

私は、いつごろからあるのかも分からない紅い石のついたペンダントを握り締めた。














































                キオクガトギレテ

                  ナクナッタ