僕は今年に入ってからとことんツイてない。


滅多に風邪なんか引かないのに
インフルエンザになったり


高校受験の時に父さんからもらった財布を
うっかり落としてしまったり。




他にも上げればキリがないけど
とにかく、ツイてないのだ。




「…本当、しつこいんだよなぁ。」

「毎日うちのクラス来てるんじゃね?」



ひひっと憎たらしい笑みを浮かべた村上を睨み付けて
僕は今日何度目かの溜め息をついた。




佐伯エリナとは
去年の春、入学してきた一年生で


僕は名前も知らなかったその子に
約一ヵ月前、告白を受けた。




好きな人なんて居ないけど
もちろん、好きでもない人と付き合うなんて考えられない僕は


「他に好きな子、居るから。」

と丁重にお断りした。