『名前なんていうの~?』
『番号教えて~!』
みんな思い思いに友達作りに励んでいる。
千夏とはクラスが離れてしまい私は一人、静かに席に座っていた。
『ねぇねぇ!名前なんて言うの?』
後ろから声がする。
声の主は男の子。
振り返ってみると、どこか見覚えのある顔。
「…長谷川愛です」
『やっぱり~!愛ちゃんだ♪覚えてる~?』
…覚えてる?
いや、待て。
「…誰?」
この男、チャラそう。
第一印象ってやつ?
ピアスは右耳に4個、左耳に3個開いていて、髪の毛は短髪でも長髪でもない長さで、色はオレンジっぽい茶色。
『え~ひどいなぁ!俺だよ俺!』
俺って言われても…
第一、人見知りな私がこんな人と話せるわけがない。
人間違いかと思い声をかけようとすると、それは遮られた。
『古賀俊介。』
古賀俊介(コガシュンスケ)…
俊介…
俊介…
あれ?
もしかして…
「俊ちゃん?!」
古賀俊介と名乗る男は、ニカーっと見覚えのある笑いかたをし、ようやく私の記憶が蘇った。
古賀俊介。
私の幼稚園の唯一の友達だった。
人見知りな性格だから、いつも一人で絵を描いていた私に笑顔で話しかけてくれた唯一の友達。
まさかこんな形で再会するなんて。
「そうそう♪思い出した?愛ちゃん変わらないね~」
私は変わらなくても、俊ちゃんは変わったけどね。
「そ、そうかな…」
