《次は、校長からのご挨拶ですー…》
あれからなんとか入学式には間に合ったものの、せっかくセットした髪はボサボサ。
額には汗がにじんでいて、もう最悪だった。
私の髪はセミロングなんだけど癖っ毛で、汗をかいたりするとすぐ毛先が跳ねてしまう。
だから、案の定今回も跳ねてしまったわけで…
こんな姿、大樹になんて見られたら恥ずかしくて自分を嫌いになってしまうだろう。
大樹といるときは、私も完璧でいたいし、大樹は面倒なことが大嫌いな性格だから、飽きられないようにって少しは努力している。
大樹も今ごろはT高校の入学式なんだろうな~
T高校の制服を着て、新しい友達をつくって、また私の知らない大樹が増えていくんだろうな。
でもそんなのもう慣れたし、平気。
大樹とは今まで通りにメールだってしてるし、好きって言ってくれる。
でも大樹はシャイだから、普段みんなの前では絶対に好きって言わないし、メールでも好きって言葉、めったにくれないんだからね?
だからこそ、言われたときの嬉しさがはんぱないというか…
すごく、愛されてるなって実感するの。
でも逆に、無愛想過ぎて不安になることだってあるの。
大樹ヤンキーだから、基本的に夜に遊ぶことが多くて、メールだって2.3通で終わることもあるし、2日くらいメールをしないことだってある。
その度に悲しくなるけど、こうやって好きって言葉に出してくれると何でも頑張れる気がするんだ!
《それでは、退場してください》
また大樹のことを考えているうちに入学式が終わってしまった。
そして、皆それぞれ教室に戻っていった。
