先生が駅に到着し、構内にある事務所に向かうとイスに座って身体を震わせている歩がいた。
「歩………!」
先生が声をかけた途端、人前も気にせず、歩が先生に近付き、抱き着いてきた。
声を殺しながら泣いている。
普段の歩なら人前ではこういうことをしない。
そういうことを気にしないぐらい、怖かったのか―――――………。
先生は唇を噛み締め、歩の包み込むように力強く抱き締めた。
きっと抱き締められている歩は苦しいだろうと思うぐらい、強めに抱き締める。
でも歩の不安をかき消す方法は今はこれくらいしかないと思った。


