「……おいおい、まさか無いとか言わないよね?」


あまりに歩が頭を抱え込んで悩んでいるので苦笑した。


「違う、たくさんありすぎて一番なんて選べない。でもどうしても選ぶならあたしを受け入れてくれたことかな。


でもそれは誰でもよかった訳じゃなくて、先生だったから惹かれた。これで理由になる………?」



先生は少しだけ照れた様子で頷いた。


今さらだが周りの席の人目が気になりだし、先生が『そろそろ店出るか』と切り出した。


会計は真山の気遣いに甘えて、真山の置いていった紙幣で払った。