「これ以上ふたりの邪魔はしたくないので帰ります。」
何だか気をつかせたみたいな感じがして悪い気分がする。
「もう少しだけ休んでいけば?」
先生が言うと、真山はまた首を横に振り、そして鞄から財布を取り出す。
「あ、金はいいよ。俺たちの用に付き合わせたんだし、」
「いえ、これ以上お二人に借りは作れませんから。」
と真山は財布からお札を数枚取り出し、机に置いた。
「お釣りはいりませんので」
と一言言い残し、席を立ち上がった。
「帰る術はあるの?よかったら車で送ってくけど、」
「大丈夫です。そこの駅が私ん家の最寄り駅に繋がってますから、」
と微笑んだ。
「お話を聞いてくださってありがとうございました。では失礼します」
と真山は軽いお辞儀をして、レジに『あのテーブルの客に会計は任せてありますので』と一言伝えて店を出ていった。


