先生がダウンジャケットのポケットからケータイを取り出した。


「あと1分で年が明けるな。年明けはこれより綺麗だから」



これよりも────?



先生がケータイを見ながら年明けのカウントダウンを始めた。


「あと10秒、9、8、7………」


そこに歩もカウントダウンに賛同する。


「「6、5、4、3、2…………」」




すると季節はずれの花火が空を舞った。


どこかの年明けの恒例行事なのだろう。


季節はずれの花火も悪くない。



うっとりしている歩を先生が抱きしめる。