先生は歩を気遣ってくれている。
歩を大事に想っているからこそ、待ってくれていたのだ。
「次はあたしが応える番だよね……」
歩は独り言を呟いた。
歩は先生が出てくるまで、ソファに座り、さっきの映画を見ていた。
途中から放棄したため、内容が全然分からない。
それでも静かなのは緊張するので見続けた。
するとバトンタッチしてから10分くらい経過した頃、先生が風呂場から出てきた。
扉が閉まる音にだけでも身体がビクッと反応してしまう。
「お待たせ」
先生が髪の毛をタオルで拭きながらソファに腰かけた。
先生からふわりとシャンプーと石鹸のいい香りがする。
先生が歩の手を握る。
「不安?」
「え」
「手がものすごく震えてるから。」


