アザレア

『お前の為に作った会社、だから五月(アザレア)』

ぼそり、と照れ臭そうに誠が告げた姿が頭から離れない。
私の為、と言った事実を忘れられる訳がない。


『メイを好きじゃなきゃ、そこまでしない』

寧ろ、好きじゃなきゃそこまでできない、と。
誠は私の為に労力、権力、財力、持っている全てを費やしてくれていたのに、私は自分が傷付くのを恐れてばかりで気付こうとすらしなかった。


『ずっと欲しかった。メイを守れるだけの力と、メイの心が』

優しくしたいのに歯止めが利かなくなる、そう言って困ったように笑う誠に、張り詰めていた糸が切れた私は力無く答える。


『……そんなの、とっくに持っているじゃない』

『え、』

『愛しているの――誠』