アザレア

「申し訳ございませんでした」

身体を起こしたメイがベッドの上で両手をついて頭を下げた。

昔じゃ考えられなかった。
そうさせているのは俺の所為だと判っているだけに、メイを直視できない。


「まだ寝てろ」

「いえ、もう大丈夫ですから」

「大丈夫な訳あるか、そんな顔色で」

反射的に口から零れるのは、フォローにすらならない陳腐な言葉ばかり。

肩書きや図体だけが一人前になっただけで、中身はあの――ただ、メイに従うばかりだったガキの頃から、ちっとも成長できていない。


そんな俺の至らなさに益々表情を曇らせたメイは、俺に向き直ると、

「……ご迷惑おかけしました」

痛々しい笑みを浮かべ、また深々と頭を下げる。