俺はギュッと目を閉じて、高野とゆっくり唇を重ねた。


で…出来た…。


そして、ゆっくりと唇を離した。


どうだ!俺だってやれば出来るんだ!


「30点」

「何で!?普通に出来たじゃん!」

「普通過ぎてつまんないんだもん。なんかそれだけ?って感じ」


俺、高野の事全然満足させられてない…。

やっぱり高野と付き合うには男として経験不足だったよなぁ。

今までにちゃんと付き合った子いないし。

水野さんは騙されてただけだし、一緒に帰ったくらいしかしてないしな。


「…でも…今までした事のあるキスの中で一番愛情こもってたかも」

「愛情こもってないキスなんてある?」


高野は腰に回してる俺の腕を掴んだ。


「あるよ。ただヤリたいだけのヤる過程のキスとか………穂高…下まで時間あるし、したかったらしていいよ」


そう言うと高野はキャミソールを捲り上げて、俺の手をブラジャーの上から胸に押し当てた。


めちゃくちゃ綺麗な身体…思わず息を飲むくらい官能的だった。


ヤりたくならないわけがない。


しかし、俺は高野の胸から手を外した。


そして、高野のキャミソールを元に戻す。


「無理。こんな所で高野を抱くなんてもったいない」

「なにそれ…」

「下までなんてそんな短い時間で高野の事愛しきれるかよ!俺は高野とヤりたくて付き合ってないから…童貞だから自信ないとかじゃないからね?あーっと…その…高野の事大事過ぎてこんな所で出来ないって!」


高野は突然ギュッと抱き付いた。


「高野?」

「…ふうぅっ」


まさか…まさか…高野が泣いてる!?何で!?俺が泣かせたの!?


「高野!ごめん…俺、変な事言った?」

「…言った…ヒックッ」

「本当にごめんって…うわぁ…何が無神経だったかな…」


さっき言った言葉をよく思い返してみる。