向かった先はサービスエリアの男子トイレの前。

体育の熊田先生が仁王立ちをしている。

うちの学校の生徒が何かしでかさないか監視しているらしい。

近くに行くと、背の高さと体のたくましさで圧倒される。


「熊田先生」

「ん?何だ?」

「今、こいつ穂高が望月先生の隣の座席なんですけど」


弘貴がそう言った瞬間ギロッと睨まれる…恐っ!


「望月先生、寝言でずっと熊田先生の名前を言ってたらしくて…今も寝てるので隣にいてあげてください」

「何!?望月先生が!?今すぐ行こう!望月先生ッ!」


熊田先生は生徒の監視をそっちのけでバスに全力疾走していった。


「熊田、はなちゃんの事好きなんだよ」

「弘貴…人様の色恋について詳しいな」


人の事に詳しいくせになんで天井の気持ちに気付いてないのか不思議だ。

そこから通常の座席に戻ってバスは目的地へと向かった。


途中、望月先生の悲鳴らしき声が聞こえたが…聞こえないふりをしておいた。