このおばあさん…すごく上品な綺麗な顔立ちのおばあさんだな。 今日はやけに美人に縁のある日だ。 手すりの前を譲った直後。 あの彼女がおばあさんの横に来ていた。 「…おばあちゃん」 「あら、結花(ユカ)ちゃん、同じ電車だったのね」 「うん。席あるから座んな」 おばあさんは俺にペコリとお辞儀をしてくれて、彼女に支えてもらいながら先ほど彼女が座った席に移動する。 「…ありがとう」 去り際に彼女は無表情のまま俺にそう言った。 彼女のおばあちゃんだったのか…納得した。