「はい、HRは以上!」



今日は私が日直の日。

HRは仕事がなく、

無事に終わりそうだ。



そして気を抜いた瞬間。


「今日の日直、誰だぁ?」

先生が一言、言った。




私は返事をすることも出来ず、

ただ俯いて座っていた。


「おーい、誰なんだぁ?」

先生が再び聞く。



「…千架っ」

私の後ろから美鈴が

小さい声で言った。








私は勇気を出して

俯きながら手を上げた。

「わ、私で…す。」







手をあげても何も返事はない。


チラッと顔を上げると

先生と目が合った。


私はすぐに逸らした。





「じゃあ柏木。ちょっと来てくれ。」



「は、はい…。」



そう言って振り返ると

美鈴が口パクで

「頑張れ」と言っていた。












元に視線を戻した時には

教室の中にはもう、

先生の姿は無かった。


私は急いで教室を出た。




すると教室を出たところで

先生がこちらを向いて止まっていた。


さっきもそうだったけど

目が合うだけで

胸が締め付けられるような

感覚になった。


先生は私が来たのを確認したのか

前を向いて歩き出した。



先生は足が長いから

おいていかれないように

小走りで後をついていった。