「……」
一言も喋らないまま俯く。
さっき肩を押された衝動でひざまついてスカートに砂が付いた。
「あんた…ムカつくのよ…」
絞り出す声が、一気に心臓の動きを早まらせる。
「秋山くんと付き合ってるのに永瀬くんにも媚売って」
あ…。もしかして。
「ちっ…違います!確かに楓くんとは…」
楓くんとは…。
――お前の事なんか嫌いなんだよ
言いかけた唇が閉じあの言葉がグサリと突き刺さり、次が出て来ない。
「梓くんに媚は売ってません…」
「"梓くん"って…。やっぱり媚売ってるんじゃない!」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…