「もう謝るな……。オレのことはほって置いて梓の所行け。さっき階段下りて行ったの見たから。…坂道ん所くらいまで行ってると思う」 楓くんは意地悪だけど、やっぱり優しいです。 こんな時まで私のこと考えてくれて……。 そう言った楓くんは私に背中を向けた。 「楓くん……??」 「最後くらいはカッコつけさせろ。つか梓ばっかりに良い所持っていかれたくないんだよ」 「???」 すっうっと息を吸う音が静かな廊下に響く。