「お久しぶりです。空嵐(くうらん)隊長。」

ノラさんは片膝をついて言った。俺も同じように片膝をついた。

「ノラか、調子はどうだ?」

空嵐隊長は座っている縦長の白い椅子で、右側に肱をのせ、のせた側の手を支えながら言った。

「順調に進んでおります。」

こんな口調のノラさんは見たことがなかった。変な感じがした。
すると、空嵐隊長は俺の方に体勢を変えずに目を向けてきた。
「削地裕と申します。」
俺の名前を聞いた瞬間、笑われた気がした。しかし、俺の勘は間違っていなかったらしい。
「削地裕…悪魔と悪魔払いのハーフ…ふっ、おもろい…」

名前しか言っていないはずなのにハーフと言うことがバレている。霊殺で感知した?それとも知っていた?…

「下がれ、ノラ。計画を実行へと移せ。白木亜美のサラキの力を奪い、白木亜美を殺せ。」

『はい、空嵐隊長』

そう言って俺とノラさんは空嵐隊長を背を向け、長い廊下を歩き始めた。

そして、空嵐隊長が俺達が歩き始めた瞬間つぶやいた。

「本当にお前に出来るかな?」と。