伝える ~Heart to Heart~



喜人さんは困ったような顔をした。



「立てるか?」



「うん…」


と、返事をしたのはいいものの足はガクガク震えてる。



「沙弥、目つぶってしっかり掴まれよ」



「え?」



その瞬間、私の体がふわっと宙に浮いた。



「え、え、え!?喜人さん!?」


だっこ、だよね?

これは…。


は、恥ずかしいって!!


「んー?目開くとまたお化けがくるぞ」



「それはいやだ!」



「おっ。俺、今ナイトの気分。お化けから姫を守る、みたいな」


そう言ってははっと笑った。


私は怖いのと恥ずかしいので、もうどうすることもできなかった。



もうなんでもいいから早く出口に着いてよ~!!!