「なんだか申し訳ないことしたな」
「うん…。家族で行こうとしてたのに…」
「まあ、お礼って言ってくれたんだし…。ここは有り難く頂いちゃっていいんじゃない?」
それもそっか。
「そうだね!」
「でも、なんか…妬けた。沙弥、“よしとくん”なんて甘い声出すし…」
「なっ!出してないよ!」
「でも沙弥がもっと好きになった」
「え?」
「さっきのよしとくんと話すときに感じた。沙弥は本当に思いやりがある子なんだなって。そのあとも自然に笑顔で話しかけたり…。もっと好きになった」
…恥ずかしいよ。
「ありがと…」
「早く子供が欲しいな…」
そう喜人さんが耳元で囁いた。
「え…?」
すると喜人さんはもう歩き出していた。
「んー?ほらぁ、どうした、沙弥?」
よ、よ、喜人さんのばかぁぁ!!!

