午前中の授業は、涼弥がボーッとしている内に終わっていた。
「今日は、雑誌?それとも取材?」
「雑誌。」
「クスクス。頑張って♪」
「何で笑ってるの?」
「別に~。まあちゃんによろしく!」
「…悠も勉強頑張って。」
「うん。」
涼弥は、そう言うと教室を後にした。
学校を出ると、一台の車が停まっていた。
涼弥が近づくと、1人の女性が出てきた。
マネージャーの加藤麻亜紗(カトウマアサ)だ。
彼女は、眼鏡をクイッと上げ、慌てた様子で涼弥を呼んだ。
「涼弥くん!!遅いよ~遅刻しちゃう~」
「すみません。」
「早くのって!!」
涼弥が乗ると、車は猛スピードで発進した。
「お弁当はそこ。あと20分しかないから、10分で食べて!!衣装はそれ!!食べたらすぐきがえて!!早くね。」
「はい。」
涼弥は、お弁当を半分も食べずに着替えだした。
「ちょっと、涼弥くん。貴方は男なのよ?
知っているとはいえ、私の前でもカーテンを閉めてちょうだい。
少しでも気を緩めないで。」
そう、麻亜紗から言われ、涼弥は黙って運転席と後部座席の間にあるカーテンを閉めた。
