スピリット・オヴ・サマー

「…おい、脅かすなよ…。」
 憲治は笑いながら言った。その笑いは明らかに不安から来る笑いだった。
 それを見て取った「少女」は、うん、と腕を組んでちょっと誇らしげに
「おらが側さいれば、何あっても大丈夫。おらの言うごどはちゃあんと聞きなさいよお。」
とおどけて見せた。
「そうか、ならいいんだ。」
 憲治は一息つくと、安心して軽く伸びをした。「あのこと」を、話してみる気になっていた。
「あのさぁ…。今日も一つ、お願いをしていいか?」