スピリット・オヴ・サマー

 「少女」は唖然として憲治を見つめた。
 憲治も共に黙する。「少女」の表情を無くした瞳の奥に、驚愕と後悔にも似た「風」が見えた。それが「見えてしまった」事に憲治自身が震えた。
 「密やかな影」が今また濃さを増していく。
「どういうことなんだよ。俺はどうしちまったんだよ、なぁ…。」
 へらへらと笑ってみる憲治。「少女」の慰めの言葉を期待しているのが、自分でも情けないほどに分かる。