だが、「少女」が消える間際に言った言葉を思い出して、逆に苦笑した。
「その年になって、発展途上の中学生の下着さ興味あるなだがァ?」
 都合の悪い神通力に見透かされたことを思い、言い訳じみた独り言が零れた。
「うるせえ。俺だってまだ若いんだからさ。」
 憲治はフルフェイスのヘルメットの下で思わず噴き出しながら、すでに陽の暮れた広域農道を行く。

第1章「誰かの風の跡」終