スピリット・オヴ・サマー

 又、ため息。
 この街を出て5年。大学は2年目で中退した。しかも親に黙ってやめた。その後3年間で三度職を変え、今は日雇いのバイトでそこそこ稼いでいる。2年間、実家には帰っていなかった。
 暇ならいくらでも作れたし、盆暮れに帰省する金に困っていたわけでもない。だが、帰ったところで黙って学校をやめたことを責められるだけだろうし、それよりも「今年も」都会の暮らしにかまけている方が意義あることに思えた。身入りの良い人材派遣のバイトが彼の生命活動と、消費するだけの生活を支えているのだ。