悪い感じではなかった。別段気にも止めなかった女の子と、下校途中でいっしょになって、いろんなことを話しながら帰ったときのあの感じ。夕暮れの柔らかい光の中で手を振った女の子が、妙に気になったあの感じ。
 確かに、この「少女」は美しい。だが、それだけで陥る感情ではなかった。
「いやァ、何十年も人間と関わってると、変なとこで人間臭ぐなってなァ…、へへへ。」
「はぁ。」
「人の口から聞かねェば不安になったりして、ナ。ははは。」
「…ふー、ん。そおゆうもんかねぇ。」