「千佳子」は一息ついてから憲治の耳元でささやいた。
「『千佳子』はもう消える。あんだの困った『純情』を一緒に連れで行ぐ…、」
「消える…?」
「んだぁ、言ったべ?夢は醒めることが大前提だぁって…。」
 途端に「千佳子」の体から「肉体」としての存在感が抜けていく。
「まっ、待ってくれ!消えるなっ!」
 憲治は「千佳子」の「体」を、必死に抱きしめた。