やがて憲治の暮らしには「夢」どころか刺激すらなくなっていく。「暮らす」だけの毎日。カタチのないものなど無視し、人生ではなく生活だけを生きていく奴らが、やたらとかっこよく思えた。あきらめ切ってしまった自分を、割り切った大人だと思う。それが今の憲治の「誇り」であった。
冷めた自分を確かめるためだけに、「夢」を語る人間を侮蔑する、否定する。その度に「情熱」はガキのおもちゃ、と言い切る憲治自身の心の中に吹く風が、虚しく、凍え切っていることも分からなくなっていた。麻痺していく魂。生きながら腐り逝く自分。
冷めた自分を確かめるためだけに、「夢」を語る人間を侮蔑する、否定する。その度に「情熱」はガキのおもちゃ、と言い切る憲治自身の心の中に吹く風が、虚しく、凍え切っていることも分からなくなっていた。麻痺していく魂。生きながら腐り逝く自分。



